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背骨ブログ2

あなたの背骨をポキっと

体操の技の進歩についていけない

今回のリオオリンピックは体操が断トツで良かった。というか他の競技は見ていないのだけど。

僕は昔体操部だった。といってもやっていたのは高校の3年という短い間で、しかも男は僕一人しかいなかった。(2年に上がってから2人男が増えた) 体操のレベルはとても低く、難しい技を教えてくれる人は誰もいない。鉄棒の基本中の基本である車輪の練習をさせてもらえたのは3年になってからだった。 車輪は、やってみると案外簡単で、どうして1年の頃に練習させてくれなかったのか、とてもイライラしてたのを覚えている。 僕一人で練習しなかったのは、1回転することをイメージできず、練習するのがすごく怖かったからだ。そんなほとんど技ができない僕だったが、体操はずっと大好きだった。

本題に入る前に体操の得点や難度について説明しておくと、現在、体操競技の点数は従来の10点満点の採点ではない。今は、EスコアとDスコアを足した点数で競われる。 Eスコアは技の美しさを表す得点だ。あらかじめ、10.0の持ち点を与えられているが、膝が曲がったり着地がぐらついたりすると、この10.0の持ち点からどんどん点数が引かれていく。 一方、Dスコアは実施した技を足して点数をだしていく加点方式だ。そのため、各選手は自分の演技構成でDスコアが何点になるのかをあらかじめ把握している。なんだ、じゃああるていどの点数は最初からわかっているじゃんと思われるかもしれないがその通りである。シンプルに難しい技を組み合わせれば高い得点は計算上でるのだ。しかし、難度が高い技になるほど体力を使うし、体操は6種目あるから一つの種目にすべての体力を使う演技構成はなかなかできない。そして、体力を消耗すれば技も失敗しやすくなるし、失敗して技と認められなければ点数にはならない。ここに高度な戦略が求められるのだ。

例えば、跳馬でDスコアが6.0の技を実施する場合。Eスコアの10.0とDスコアの6.0を合計すると16.0だ。その16.0が競技者の最高得点となる。 後は演技をして、減点されたEスコアの点数と、Dスコアの6.0を合計して競技者の点数が表示される。

次は難度だ。 体操競技はA~Hまで難度が設定されている。簡単に言うと、Aが一番簡単でHが一番難しい。そして、このH難度に設定されている技は以下の3つしかない。

  • 床:シライ3(後方伸身2回宙返り3回ひねり)
  • 鉄棒:ブレットシュナイダー(バーを越えながら、後方かかえ込み2回宙返り2回ひねり懸垂)
  • あん馬:dsA直接背面とび横移動倒立1回ひねり3/3部分移動下ろして開脚旋回
    ※参考:たんたら体操競技ブログ

話をリオオリンピックに戻そう。 今回、個人的に胸が熱くなった2人の選手がいる。

アンドレアス・ブレットシュナイダー(ドイツ)

一人は、ドイツのアンドレアス・ブレットシュナイダー選手の鉄棒だ。

まず彼は自分の名前のついてる技をもっている。前述したH難度の大技である「ブレットシュナイダー」だ。下の動画で最初に実施する離れ技がそれである。

この技が鉄棒でもっとも難しいとされている技だ。繰り返すが一番難しい技だ。

そしてこちらを見て欲しい。

今回のリオオリンピックの決勝でブレットシュナイダー選手が実施した技だ。惜しくも落下してしまった。

しかし、この技は正確にはブレットシュナイダーではない。体を伸ばした状態、つまり伸身のブレットシュナイダーなのだ! さきほどH難度が一番難しいと書いたが、この技はH難度よりも難しい技だ。もしこれが成功していたら体操競技初のI難度に認定されていたかもしれない。 しかもこの選手、予選で自身の持ち技である「ブレットシュナイダー」で落下してしまっている。それなのに、決勝ではさらに難度を上げて挑戦してきた。なんというチャレンジ精神だろう! ご覧の通り、決勝でも落下してしまったのだが、もしこの選手が種目別に残っていたら、メダルの筆頭候補になったのではないだろうか。

練習中の動画ではあるが、成功した動画はこちら。最初に実施する離れ技が伸身のブレットシュナイダーだ。

  • 1回目:伸身ブレットシュナイダー(I難度?)
  • 2回目:ブレットシュナイダー(H難度)
  • 3回目:カッシーナ(G難度)
  • 4回目:コールマン(F難度)

この技が正式な大会で発表されることが待ち遠しい。

イゴール・ラディビロフ(ウクライナ

もう一人はウクライナイゴール・ラディビロフ選手の跳馬だ。

まずはこちらを見て欲しい。これはリオオリンピックの種目別決勝の動画だ。

数えられただろうか。彼は空中で4回も回転しているのだ。いまトップレベルの選手でも、3回宙返りの1/2ひねり(ドラグレスク)、又はこの技を屈伸で実施するのがすごいとされていた。しかし、この選手は1/2ひねるとか、屈伸で実施するとか、そんな次元ではない。もう1回転を加えてきたのだ。1回ひねるよりも1回転加える方が遥かに難易度は高い。Dスコアも7.0という驚異的な点数だ。今回跳馬で優勝した北朝鮮のリ・セグァン選手の跳馬のDスコアの6.4と比較すると、7.0という点数が常軌を逸していることがわかる。残念ながら、尻もちで減点されてしまったが、それでも14.933という点数は決して低くない。

この選手はまだ23歳ということを考えれば、次の東京オリンピックに出場してくることも考えられる。そのときはどんな演技をしてくれるのか非常に楽しみだ。

さいごに

僕が体操をやってたころと比べると、技がとんでもなく進歩している。特にコバチの派生技の進歩が止まらない。人類はどこまでいくんだろうか。